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ラジオデイズ・まやかしの景気回復と、きなくさい北朝鮮・イラン 田中宇プラス会員は2本目も無料です。
◆IAEA事務局長に日本人選出の意味 【2009年7月3日】 日本人のIAEA事務局長への就任が何年か前だったとしたら、米国の尻馬に乗って「イランは核兵器を開発している」と激しく非難していれば、日本国としての対米従属と、IAEA事務局長を通じた国際指導力の発揮とは、何の矛盾もなく両立した。しかし世界が多極化している今後は、そうはいかない。日本が天野をIAEA事務局長に送り出し、国際指導力を発揮するには、多極化を肯定的にとらえることが必須となる。これは「英米中心主義にぶらさがるか、さもなくば鎖国」という従来の日本の国是を逸脱させる。
◆金正雲の中国訪問など【短信集】 【2009年7月2日】 金正雲の中国訪問が、上海や広州などの経済見学を主軸にしたことからは、やはり中国は北朝鮮に改革開放をやらせたいのだと考えられる。▼インドも誘ってドル離れするBRIC▼「ドル終焉」のプロセス。世界経済の中心が米国から離れていく「デカップリング」が起こりつつある。▼米国の温暖化対策と中国▼日本では、米国が温暖化対策に本腰を入れたと評価する向きが多いが、それは楽観しすぎで、新法は米国の自滅に拍車をかける。
イラン選挙騒動の本質(2) 【2009年6月30日】 イラン選挙後の政変は、保守派の側から誘発し、改革派は乗せられてしまったという見方もできる。投票日当日、開票が始まって1時間後、イラン内務省がムサビ候補に「選挙は貴殿の勝ちだから、勝利演説の準備をしてください」と連絡してきた。だがその後、革命防衛隊の数人の幹部がムサビの事務所にやってきて「君の選挙運動は、米欧に支援された政権転覆の策略だったので、当選は認められないことになった」と宣告した。そして、護憲評議会はアハマディネジャドの当選を発表した。いったんは当選の連絡を受けたのに、革命防衛隊の横やりによって落選に変えられたムサビは激怒し、今回の選挙騒動が始まった。
◆「地球の平均気温」は意味がない 【2009年6月28日】 地球上に無数の観測地点があり、その各地点間の気温が多様な差異を持ち、多種多様な気候が発生して、それが次の日の気温や気候に反映されていく連続的な現象があり、その総体が地球の気候である。この非常に複雑な地球の気候の状態を、各地点の気温の平均値によって代表させることは、非現実的である。アンダーセンらは「各地点の気温の平均値が地球を代表する気温だと考えることは、電話帳に載っているすべての電話番号を合算して算出した平均値が、その町を代表する電話番号であると考えるのと同じ種類の、頓珍漢な話である」と主張している。
◆GPSが破綻する?? 【2009年6月25日】 カーナビや船舶の航行用、米軍の精密誘導兵器などに使われる、人工衛星を使った位置確認システムであるGPSは、米空軍が地球の上空に打ち上げた30基の人工衛星を使ってシステムを機能させており、使える人工衛星が24基以下になると、満足な位置確認ができなくなると指摘されている。米政府の会計検査院(GAO)は今年5月下旬「来年以降、GPS用の人工衛星の中で軌道を外れるなど機能が低下するものが増える。このままでは、使える人工衛星が24基以下になる可能性は、来年が5%、2011−12年には20%、2017−19年には90%となる」とする報告書を発表した。
金正日の死が近い? 【2009年6月23日】 北朝鮮は、中国肝いりの集団指導体制を目指している。金正日が死んだ後、一族による世襲体制をすぐに壊すと政治の不安定を招くので、表向きの後継者は三男の金正雲にして、有能とされる妹婿の張成沢が摂政役をつとめる世襲を維持しつつ、いずれしだいに一族外の人材を政権中枢の国防委員会に入れ、集団指導体制へと脱皮していこうとしていると考えられる。脱皮が失敗して一族政治に戻る可能性もあるが、成功した場合には、北朝鮮は内政が安定し、常に米韓との緊張関係を必要とする状態から脱することができ、南北協調や経済発展が可能になる。
◆イラン選挙騒動の本質 【2009年6月20日】 たとえ実際には選挙不正がなく、ムサビの反政府運動が言いがかりに基づくものでしかないとしても、イラン国民の反政府意識を扇動し、イラン全土を巻き込んで展開されるであろう保守派と改革派との政治闘争の中で改革派が有利になり、最高指導者のポストを改革派が奪取できれば、目的は達成される。実際に不正があったかどうかは、最重要の要素ではない。改革派は、選挙不正に対するイラン国民の怒りを煽り、政権転覆への起爆剤として使っている。
世界不況は終わりつつある?? 【2009年6月16日】 株価の上昇など、G8財務相会合で「景気安定化の兆候」であるとされた金融市場の活況は、米国主導の財政赤字増と量的緩和策、米銀行の決算粉飾や株価てこ入れなどの政策の結果である。もしG8の声明どおり、金融市場の再活性化を世界経済が演出ではなく不況を脱しつつある本当の兆候であると認識し、財政赤字と量的緩和による経済対策をやめたら、金融市場の機能不全が再び顕在化し、金融危機が再燃するとともに、米国主導の世界経済の景気は再び底が抜けて悪化するだろう。
◆ドル崩壊とBRIC 【2009年6月11日】 ユーラシア大陸の真ん中、ロシア・西シベリアのエカテリンブルグで、ドルの将来を話し合うサミットが開かれる。参加者には、ドルの発行者である米国は含まれていない。ロシア、中国、ブラジル、インドというBRICの4カ国によるサミットである。ドル崩壊感の高まりと、BRICサミットによるSDRを使った基軸通貨の多極化計画の推進からは、今夏、米経済覇権の終焉劇の第2幕が起きそうな感じがする。
朝鮮戦争再発の可能性 【2009年6月9日】 北朝鮮が騒ぐのは米韓などからの経済支援がほしいからであって大戦争など望んでいないし、米国も韓国や中国の経済発展に投資しており極東の大戦争は望まないというのが、従来の構図だった。だから今回も、北の核実験後、海上の南北分界線の周辺で南北が相互に侵犯して緊張が高まっても、本格戦争にはならないという見方もできる。しかし、もっと巨視的な、世界の覇権構造をめぐる米英中枢の暗闘との関係で見ると、今の状況は、朝鮮半島で戦争が起こっても不思議ではない感じがする。
◆やはり世界経済はデカップリングする? 【2009年6月7日】 中国やインドなど経済新興諸国は従来、欧米先進諸国の産業の下請けや加工組立基地として機能してきたので、先進国が不況になったら新興諸国も不況になるのが常だったが、今後はそうではなく、新興諸国は内需主導型経済になり、先進国とは切り離されたかたちで経済成長していく、という「デカップリング(切り離し)論」が再燃している。ドルが崩壊していくと、代わりの通貨体制の構築が急進展する。世界は、実体経済より先に通貨からデカップリングするかもしれない。
反イスラエルの本性をあらわすアメリカ(2) 【2009年6月5日】 イランが台頭して国際的な反米同盟を形成すると、イスラエルにとって非常に危険だ。イスラエルは従来、ファタハ主導のパレスチナ政府を米国の傀儡として維持し、新生パレスチナ治安部隊も米イスラエルが訓練して監督下に置き、パレスチナ国家ができたとしてもイスラエルの言いなりになる仕掛けを作っていた。ファタハがイランやハマスと組んでしまうと、この仕掛けが崩壊し、パレスチナ国家はイスラエルを敵視する勢力に転換する。オバマ政権は、このような構造転換の裏の流れを知りつつ、イスラエルに「パレスチナ国家の創建に協力しろ」と要求する声を強めている。だからイスラエルは驚愕している。
◆北朝鮮は核武装、日本は? 【2009年6月2日】 対米従属党の伝統を持つ自民党の上層部が「日本の核武装」イコール「対米従属の終わり」であると気づかないはずがない。自民党内から出てくる核武装論は、米国の覇権衰退が近いことを認識した上で、日本は「アメリカ以後」に備えねばならないという意識の発露であると私には見える。自民党内から「核武装」の議論が出てくるのは、地政学的な転換を意味している。
ドル崩壊の夏になる? 【2009年5月26日】 米国債とドルに対する信用が落ちると、原油、金、穀物など、ドル建て表記されている相場商品の価格が上がる。ドルの刷りすぎと相まって、超インフレになるという指摘があちこちから出ている。「ドルと米国債の崩壊、超インフレ」は、起きるか起きないかではなく、いつ起きるかという話になってきている。米国の投資戦略家は「インフレに備え、相場商品を買い貯めよ」と指摘している。中国などが相場商品を買い漁っているのは、先見の明である。世界の転換を見ようとしない日本人は、自らを時代遅れの衰退勢力におとしめている。
◆ビルダーバーグと中国 【2009年5月21日】 ビルダーバーグには米欧中枢の資本家が集まるにもかかわらず、彼らの構想は米英中心の世界体制を壊すことだ。これは奇妙に見えるが、資本家が最も重視することが「米欧の発展」「米欧での儲け」ではなく「世界経済の発展」「世界的な儲け」だと考えれば、世界経済の体制が米英中心・途上国抑制の「小均衡」から、途上国の発展度を上げる「大均衡」への転換を好むのは納得できる。彼らは、中国の台頭を隠れた目標にしている観があるが、中国人を何人も常連として議論に招待することはしていない。このことは、中国の台頭という現状が、中国自身の戦略の結果ではなく、米欧資本家の戦略(資本の論理)の結果であることを示している。
連銀という名のバブル 【2009年5月19日】 今回の金融危機に至る過程において、連銀の信用創造機能は、債券化という形で民間に拡大した。連銀が国家の信用力をドルという価値に転換するように、民間企業は自社の信用力を社債という価値に転換できるようになった。信用力のない赤字企業や個人でも、債券化の仕掛けを使えば不動産などの資産を担保に簡単に金を作れる「誰でも連銀」的な事態が生まれ、これが90年代から07年までの米英の経済成長の強力な下支えとなった。今の金融危機は、このシステムの大崩壊である。「誰でも連銀」バブルの崩壊である。
◆米金融まやかしの健全性 【2009年5月16日】 米当局が5月初めに結果発表した米大手銀行19行に対する健全性調査「ストレス試験」について粉飾を指摘する声が相次いでいる。米投資会社の経営者は「米大手銀行は債務超過に陥っている(それなのに米当局は、銀行はおおむね健全だとする試験結果を出した)。これはインチキだ」と述べた。ドイツのシュタインブリュック財務相は議会で「米政府はストレス試験の結果を粉飾して発表した。試験は無価値だ」と発言した。
非米化するイラクとレバノン 【2009年5月13日】 サドルのイラクとナスララのレバノンは、いずれも内戦になりがちなモザイク状の多民族国家であり、これらの両国で国内の協調体制が成功すれば、そのノウハウは中東全体の協調体制や、シーア派とスンニ派の対立の止揚につながりうる。シーアとスンニの対立は、米英仏による中東支配のために扇動されてきた。米国の影響力低下によってイスラム世界は、内部対立を解消する機会を得ている。
◆米国より中国が最大貿易相手になるブラジル 【2009年5月11日】 50年前のキューバ危機などの米ソ冷戦は軍事中心で、米ソが自由貿易の競争で覇を競うことはなかった。対照的に、今回の「米英中心主義体制」と「多極主義体制」の対峙はむしろ、自由貿易の分野が重要になっている。ブラジルの最大貿易相手国が米国から中国に代わることは、その象徴の一つだ。オーストラリアが対米従属できなくなって防衛力強化をせざるを得なくなり、その言い訳として、敵対できないはずの中国の脅威を持ち出すことも、軍事と経済のねじれた連携を表している。
◆反イスラエルの本性をあらわすアメリカ 【2009年5月8日】 5月5日、核拡散防止条約(NPT)締結国の年次総会で米国の代表が演説し、その中で「(NPTに入らず核兵器を開発している)インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルは、NPTに入るべきだ」という趣旨の主張を行った。イスラエルが含まれているのは異例だったので、イスラエルや米国のマスコミやウォッチャーの間に驚きが広がった。米国は従来、イスラエルの「核兵器を保有しつつも、核を持っているかどうかは意図的に曖昧にし、査察を受けたくないのでNPTは署名しない」という曖昧戦略を認知してきた。国連でイスラエルの核兵器が問題になると毎回、米国が出てきて議論をもみ消してくれていた。NPT総会での米代表の発言は、このイスラエルに対する米国の協力体制の終わりを宣言したものではないかとイスラエルは恐れている。
◆豚インフルエンザの戦時体制 【2009年4月30日】 前代未聞の危険なウイルスが蔓延しているのだから、各国のものものしい対応は当然だと多くの人が無意識のうちに思っているかもしれない。しかし、911を契機に始まった米国と世界の「有事体制」が、実は軍産複合体による権限拡大・世界支配強化策の部分が大きかったように、今回の豚インフルエンザの件も、よく事態を見ていくと、有事体制を作るために必要以上の騒動を作り出している疑いがある。
のし上がる中国 【2009年4月28日】 3月9日に開かれた中国の議会である全人代で、共産党のナンバー2にあたる全人代常務委員長の呉邦国が「複数政党制や三権分立、二院制議会、司法の独立といった欧米型の政治体制は、中国には適さない」「中国には共産党の一党体制の方が適している」「共産党の一党支配がないと、中国のような大きな国は分裂してしまう」「独立した裁判所が法律の正しさを決める司法体制は採らない。法律は共産党が決める」という趣旨の演説を行った。この宣言の意味は、これまで中国の政治に干渉してきた欧米勢力が、金融危機や中東の戦争によって自滅的に弱くなったので、もはや欧米に気兼ねする必要などない、中国のやりたいようにやらせてもらうという表明である。
◆国際金融危機の再燃が近い? 【2009年4月25日】 米国で、企業の経営者や取締役、創業一族といった、自社の経営の先行きを最もよく把握している人々による自社株売りが急増している。株高の中、経営者が自社株売りに精を出していることは、これから米企業の経営が悪化して株価も急落すると、彼ら自身が予測しているからではないかと懸念されている。
◆中国のドル離れ 【2009年4月24日】 米中枢の勢力が中国を特に重視する理由は、欧米以外の世界で最も大きな国の一つであり、しかも欧米文明とは異なる文明を持つので、中国を強い国に仕立てれば、世界の成長度を上げるための多極型の世界体制を作りやすいと考えたからだろう。アジアの大国としては日本もあるが、明治維新は英国の肝いりで行われ、その後の日本は欧州列強の一部となる戦略を採り、第2次大戦後は英国(軍産英複合体)の傀儡となったため、日本は多極化戦略にはほとんど使えない国だった。
◆いつわりの米金融回復 【2009年4月22日】 4月に入って、ゴールドマンサックス、ウェルズファーゴ、JPモルガンチェース、シティ、バンカメといった米国の大手銀行が、今年1−3月期の四半期決算について、次々と意外な好業績を発表した。つい最近まで、もうすぐ潰れるのではないかとみられていた銀行が突如として好業績を発表したものだから、株式市場は好感し、上昇傾向となった。米英のマスコミは「金融危機は山場を越えた」と喧伝した。しかし、これらの銀行決算の多くは、実は粉飾的な操作の結果だったことが明らかになっている。
核の新世界秩序 【2009年4月21日】 核兵器は、米英が第2次大戦中に開発して以来、米英中心の世界体制を維持するために拡散させられてきた。今後、米英中心の体制が崩壊するとしたら、核兵器をめぐる世界情勢も従来と大きく異なるものになる。常識的には、すでに核兵器を持っている国々は、影響力の低下を恐れ、新たな核兵器保有国が増えるのを嫌うと考えられている。しかし、たとえばパキスタンに核兵器技術を漏洩することで、インド植民地独立時に英国が仕掛けた印パ対立の構図を恒久化できる。英米は、核兵器技術を意図的に漏洩させることで、世界の分断支配を維持してきた。
◆テロ戦争の終わり(2) 【2009年4月16日】 オバマ政権はテロ戦争を終わらせる方向に進んでいるが、それが成功するとは限らない。軍産イスラエル複合体の力は強く、テロ戦争を終わらせようとする動きは阻止される傾向にある。たとえば、米国とイランとの和解は進展しそうに見えるが、実はオバマ政権でイランとの交渉を担当する責任者であるデニス・ロスは、過激な親イスラエル・反イラン派である。ロスはクリントン政権でパレスチナ和平を担当し、表向きはイスラエルを譲歩させるように振る舞いながら、実はイスラエルの言い分をパレスチナ側に押しつけて和平交渉を失敗させる策略をやり、最初から和平を潰すつもりで和平交渉を演じていたと指摘されている。ロスは今回、それと同じことをイランとの交渉でやろうとしている。
テロ戦争の終わり 【2009年4月14日】 米政府は、政権がブッシュからオバマに代わっても、911事件に対する公式見解は変えていない。しかし、ブッシュが開始した「テロ戦争」を、オバマは、目立たないかたちで終わらせる動きを続けている。オバマは「もはやアルカイダは逃げ回っているだけの弱体化した組織なので、オサマ・ビンラディンを殺したり捕まえたりすることを最重要の目標にしておく必要はない」と表明している。ビンラディンはすでに死んでいる可能性が高いのに、オバマが「ビンラディンは死んだ」と言わず「ビンラディンを捕まえなくてもよい」と言う理由は、米国の「軍産複合体」が「テロ産複合体」に発展し、一大産業と化しているため、彼らに配慮したのだろう。
◆変容する中東政治(2) 【2009年4月9日】 イスラエルは、全方位的に不利になっている。政治面での不利が目立つが、最も重要なのは、実は経済である。世界不況と、世界各国からしだいに強く受けるようになっているボイコット(経済制裁)の影響で輸出が減り、失業や倒産が増え、国家も企業も家計も赤字が増して、イスラエルは今、建国以来の経済危機にある。
変容する中東政治 【2009年4月7日】 サウジアラビア東部から近いイラクでは、中世から03年の米軍侵攻まで、サダム・フセインを頂点とする少数派のスンニ派が、多数派のシーア派を統治してきたが、今では「米国のおかげ」で民主主義が確立され、シーア派主導の国となった。その向こうのイランでは、反米的なアハマディネジャド大統領が米国やイスラエルの戦争犯罪を堂々と指摘し、中東全域で喝采されている。サウジなど他の中東諸国のシーア派は、巡礼としてイラクやイランの聖地を定期的に訪問するが、この時にイラクやイランのシーア派から政治的な影響を受け、母国に帰ってスンニ派主導の政府に対する要求を表明するようになっている。
◆急落する世界経済とG20 【2009年4月3日】 まだ世の中には「米経済はいずれ回復し、再び世界を牽引する圧倒的な経済大国に戻る」と思う人が多いだろう。だが米オバマ大統領は、G20サミット前日の記者会見で「米国は巨額の財政赤字を抱え、国民の貯蓄率も低いので、今後長いこと、赤字を減らす独力を続けねばならない」「米経済が今後回復するとしても、それは米国自身のために回復するのであって、世界から頼ってもらうために回復するのではない」「世界は、もはや米国を旺盛な消費市場だと思って頼ることはできない」と宣言している。
北朝鮮問題が変える東アジアの枠組み 【2009年3月31日】 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議が03年に始まってから、早くも6年がすぎた。そして、東アジアの盟主は米国から中国に切り替わりつつある。中国は、米国のように表舞台の華やかな国際会議中心の外交を好まず、もっと隠然とした非公式な外交を好むので、6カ国協議はしだいに重要ではなくなるかも知れない。しかし、外交スタイルは変わっても、米国から中国に東アジアの主導権が移ることには違いない。
◆顕在化するドルとポンドの崩壊 【2009年3月27日】 ドルは世界の基軸通貨としての地位を失いかけている。「ドルに代わる通貨がないのだから、ドル崩壊はあり得ない。世界がドル崩壊を食い止める」と信じている人がまだ多いが、世界はドル崩壊を食い止められない。代わりの基軸通貨のことなど考えずに、ドルは勝手に崩壊しつつある。
世界がドルを棄てた日(3) 【2009年3月24日】 全米各地で「連邦政府に税金を払う必要はない」「政府は腐敗した銀行家を税金で助けるな」と主張する「ボストン茶会」の運動が始まっている。米国民の怒りはAIGのボーナス問題で煽られ、納税拒否運動は広まる一方だ。税金が集まらなくなると、米政府は窮する。国債の償還が危うくなるので外国人も米国債を買わなくなり、米国は財政破綻が近づき、ドルは世界の基軸通貨として使えなくなる。
◆世界がドルを棄てた日(2) 【2009年3月21日】・・・やはりG20サミットの底流は「ドル以後の基軸通貨体制の話し合い」であると思わせる出来事が最近あった。ロンドンG20サミットの開催を2週間後に控えた3月18日、国連の「国際通貨改革専門家会議」が、25日の会合で、ドルが国際基軸通貨である従来の状態を棄てて、新たにEUのユーロができる前に採られていたECUやIMFの特別引き出し権のような、世界の諸通貨を加重平均した新しい国際共通通貨を創設すべきだという提案がなされることになった。
国家崩壊に瀕するパキスタン 【2009年3月18日】 アフガンでしだいに弱い立場になる米国が、優勢なタリバンを懐柔しようと譲歩することは、譲歩そのものが失敗するだけでなく、タリバンの優勢を加速してしまい、タリバンを中心とするイスラム主義勢力が、アフガンだけでなくパキスタンでも台頭することに拍車がかかる。パキスタン政界ではザルダリとシャリフの対立が激化して分裂し、タリバンに対抗するどころではない。アフガンでの米国の譲歩は、パキスタンの混乱を助長している。
◆どうなるオバマの金融救済 【2009年3月16日】 事態の悪化は螺旋状に進んでいくので、まだ人々がパニックに陥る事態にはなっていないが、今年はもう、投資はなるべくしない方がいいだろう。「乱高下する今こそ儲かる」という人もいるが、乱高下の本質は、米英イスラエル中枢の暗闘である。この200年の金融システムを創設した「人々を踊らせる側」「賭博場の胴元」たちの、国家存亡をかけた果たし合いである。彼らに比べたら、日本に住んでいる人々は、大手金融機関の機関投資家でも相場の根幹に存在する国際政治の深いことは知らないので「ど素人」だ。安易な参戦はやめた方が良い。踊らされて大損するだけだ。
米軍イラク撤退の中東波乱 【2009年3月10日】 米軍内の反対を押し切ってイラク撤退を実現するオバマを評価する人は多い。しかし現実的に見ると、18カ月でイラクから米軍の主要部分を撤退させるのは物理的、兵站的に、試みる前からほとんど無理である。米軍は世界中に基地を持つが、多くは恒常施設だ。米軍は、大規模な基地を撤退・閉鎖した経験がない。米軍の実績では、200人が駐屯する基地を閉めるのに2カ月以上かかる。
◆戦争か対話か・中東戦略の目くらまし 【2009年3月6日】オバマ政権はイランと対話する姿勢を見せながらも、イランを敵視する人材を対話担当者に据え、対話の失敗を運命づけている。その一方で、米国の中東戦略にとって最重要な大統領府の諜報担当責任者に反イスラエル親アラブの人材を据え、イスラエルとの協調をあらかじめ失敗に追い込んでいる。この2つの人事を矛盾なく読み解くことは難しいが、私にはピンとくるものがある。
黒船ならぬ黒テポドン 【2009年3月3日】日本の現状は「黒船来航で開国を迫られて大騒ぎする幕末の江戸城の旗本たち」に見える。殿中の審議で「もう鎖国をやめるしかありませんな」と本音を言ってしまった小沢殿に対して、他の幕臣たちが「なんてことを」「口を慎みなされ」「殿中ですぞ」と大騒ぎしている。他の幕臣にもよい知恵はなく、おろおろしつつ、あたかも黒船など来ていないかのように振る舞うばかりだ。黒船ならぬ黒テポドンという、たった数発の「太平の眠りを覚ます上喜撰(蒸気船)」によって、日本は今後、幕末的な大転換期に入っていきそうな感じが強まっている。
◆世界的な「反乱の夏」になる? 【2009年2月26日】英国ロンドンの警察の治安担当幹部が、不況の深刻化による失業増、行政サービスの削減、銀行破綻による預金封鎖などを受け、今年の夏にかけて英国民が政府批判を強め、大規模な反政府活動や暴動が発生して「反乱の夏」になるかもしれないと指摘した。世界不況の震源地である米国も、今年は波乱含みだ。米軍はすでに、米国内での反乱鎮圧の準備を着々と進めている。米国とメキシコが戦争する懸念もある。
「アジアの世紀」の光と影 【2009年2月24日】米欧の分析者の多くが、21世紀は「アジアの世紀」だと感じている。しかし、そこでいう「アジア」は大方の場合、中国のことだ。中国はますます誇り高く、台頭して光り輝くのと対照的に、日本は何とか対米従属を維持しようと息をひそめ、自分から日影の存在を選び、米国の衰退に合わせて自国の身の丈を縮めている。日本はかなりの潜在力があるはずなのに、愚かでもったいない話だ。
揺らぐアメリカの連邦制 【2009年2月18日】これまで米国の景気が良く、ニューヨークの金融家が作った高利回りの国家システムをワシントンの連邦政界が運営し、各州の市民がその恩恵を受けていた間は、州の主権を強く主張する人は少数派だった。しかし、ニューヨーク製の金融システムが崩壊して州政府も州民も困窮し、連邦政府がイラクやアフガンで不必要な戦争の泥沼にはまって世界の反感をかっている今、状況が変わりつつある。各州の人々は、自分たちと連邦政府の間の契約を読み直し始めている。
米露逆転のアフガニスタン 【2009年2月10日】冷戦終結から10年すぎた今、アフガニスタンでの泥沼の占領劇は役者が米露逆転し、米欧(米軍を中心とするNATO軍)が占領の泥沼にはまっている。ロシアは米欧に対し、泥沼から出るための手助けをしても良いと言い出した。ただし、それには条件がある。米欧がロシアに対する敵対的な包囲網を解き、中央アジアやコーカサス、ウクライナなど、ロシアがソ連時代に持っていた周辺地域への覇権(影響圏の設定)の回復を許容するなら助けてやる、とロシアは言っている。
イスラエル戦争の波紋 【2009年2月3日】ダボス会議でイスラエルとトルコの首脳が喧嘩したが、イスラエルはトルコを敵に回すと「亡国」の危険が強まる。トルコは、中東で有数の仲裁力を持った国で、トルコの仲裁でイスラエルとイランとの戦争も回避しえた。しかし、ガザ侵攻でイスラエルが戦争犯罪を重ね、トルコの世論が激しいイスラエル敵視に傾いた今、その状況は去りつつある。イスラエルは国際政治の世界で不利になり、まさにトルコを必要としているときに喧嘩してしまった。
意外にブッシュと変わらないオバマ政権 【2009年1月27日】オバマは、経済面や軍事外交面で失敗した前ブッシュ政権の姿勢を脱却することを意味する「変化(チェンジ)」という標語を掲げて当選した。しかし、就任1週間後の現時点で、オバマはいくつかの点で、すでにブッシュ政権の悪しき政策を継承しており、意外と「変化」に乏しい、人々を失望させる政権になっていく懸念が増している。
911やロンドンのテロで大儲けしていた金融機関【短信】 【2009年1月25日】 ◆日本・中国・サウジアラビアは、いつまで米国債を買うか?
イギリスの崩壊 【2009年1月24日】英国の金融崩壊が急速に進んでいる。昨年9月のリーマン倒産を機に一気に悪化した米国発の国際金融危機は、それまでのレバレッジ金融の金余りによって高値になったロンドンの不動産などの相場を急落させた。その後、昨年末の決算時に英金融機関の資産の時価評価額が減り、いくつもの大手銀行が事実上の債務超過に陥っていることが、今年に入ってわかった。
回復困難なアメリカ経済 【2009年1月20日】覇権研究で有名な米学者ポール・ケネディによると、米政界は景気回復を優先するあまり、財政赤字の急増を容認し、オバマにも追加支出せよと圧力がかかり、非効率で間違った財政の大盤振る舞いに陥りそうだ。財政出動策の効率について、米国内の誰も把握していないのも危険だ。今の米国の財政赤字増はあまりに急速で、長年の大国興亡史研究を経たケネディの目から見て、前代未聞の速さだという。
ガザ戦争で逆転する善悪 【2009年1月13日】1943年には、手榴弾を持ってナチスに立ち向かう青年モルデハイは、ワルシャワのユダヤ人ゲットーにいた。しかし、今のモルデハイは、ユダヤ人ではない。ガザという名のゲットーに住むパレスチナ人である。立ち向かう相手はナチスではなく「ナチス化」したイスラエルである。ハマスを支援してイスラエル軍と戦うガザの無数の青年たちこそ、現在のモルデハイである。
ガザ・中東大戦争の瀬戸際 【2009年1月3日】ハマスの軍事部隊は、一般市民のふりをしてガザ地区内の一般のアパートに分散して入居し、ゲリラ戦の準備をしている。イスラエル軍は、地上軍侵攻してガザ地区の全体を占領した後、ガザを5つのブロックに分割し、パレスチナ人が相互に行き来できないようにして占領すると予測されている。
これより前の記事(2008年の記事)
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