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英兵の任務はスパイ:正しかったイランの言い分

2007年4月6日


 前回の記事に書いたように、イランに拘束されていたイギリス兵15人は、釈放されてイギリスに帰国したが、この直後、イギリスのテレビ局スカイニュースが、拘束された英兵に、拘束の5日前に偶然に取材してあったインタビューの内容を報道した。それによると、15人のリーダーをつとめるクリス・エア(Chris Air)海軍大佐は取材に答え、イラン・イラク国境近くの海域で、毎日この海域で網を張る漁船の乗組員らに、イラン側の動きを尋ねるという諜報活動を展開しているのだと述べていた。
UK Sailor Captain: 'We Gathered Intel' on Iran

 イラン政府は、英兵たちがスパイ活動をしていたと主張し、スパイ罪で15人を裁くと発表していた。これに対し英政府は、15人は付近を航行する船舶の臨検をして、密輸や密航を取り締まっていただけだと発表していた。スカイニュースが発表した取材内容から、イランの主張が正しかったことが明らかになった。

 英兵は、ダウ船の臨検と、漁船を通じた諜報活動の両方を行っていた。漁船は、国境付近の海域で毎日長い時間海上に滞在するため、英とイランの両方の海軍の動きを見ている。そのため漁民たちは、イラク側の海上で英軍から尋問されるだけでなく、イラン側の海上では英米軍の動向を知りたいイラン軍に尋問され、双方から諜報活動の対象となっていた。

 スカイニュースは、英兵がイランに拘束されている間は、拘束5日前の取材内容の発表を控えていたが、英兵が釈放されて帰国したため、取材内容を明らかにした。

 また英各紙で報じられているところによると、この海域で英海軍が兵士をゴムボートで海上での作戦に送り出すときは、必ず母艦(HMS Cornwall)からヘリコプターを飛ばしてボートを上空から見守るようにしており、当日までの66回の出動にはすべてヘリが同行していた。だが、どうしたわけか、拘束事件が起きた日に限って、ヘリは途中で帰還していた。
Questions the Navy chiefs must now answer

 この件について英軍当局は、ヘリに積める燃料に限りがあり、途中で帰還する必要があったとしているが、実はこのヘリ(Lynx)は4時間の継続飛行が可能で、当日のボートの任務である臨検は80分で終わっていた。この臨検が終わった直後、ボートの兵士はイラン軍に拘束された。私は前回の記事で、英軍の上層部が兵士をイラン軍に捕まりそうな状況に故意に置いた疑いがあると書いたが、その疑いが濃厚になってきた。
Questions on the Iranian hostage crisis that must now be answered




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