トランプの米州主義と日本
2025年1月9日
田中 宇
昨日の無料記事で、ドナルド・トランプが、世界が多極型に転換したことに呼応して、米国の国家戦略を世界覇権運営から米州主義(米州重視・他地域は軽視)に転換しそうなこと、その皮切りとしてグリーンランドやパナマ運河やカナダの併合する希望を表明したことを書いた。
米国が米州主義に転換し、米州だけを重視して他の地域を軽視するようになったら、安保協定など日米関係はどうなるのか。米国は、米州から遠いアジアの国である日本を従属させてくれなくなるのでないか。そのような懸念がすぐに出てくる。
(トランプの米州主義)
今のところ、世の中の人は誰もそれを心配していない。昨日の記事に書いたが、人類をどう洗脳するかを決めている米諜報界(英国系と多極派)は、米覇権凋落や多極化について無視する策を採っている。
多極化は、人々に知られないまま進んでいる。トランプがグリーンランドなどを併合したがっていることも、多極化への対応策である米州主義の発露だという話になっておらず、単なるトランプの奇行として描かれている。
多極化も米州主義も見えなくされており、米国が米州主義になったら日本を見捨てるという当然の懸念も出てこない。
米国は、米州主義を強めるほど日本を軽視する。その可能性が高い。日本は、米国に見捨てられたら、中国や北朝鮮に攻撃されて一巻の終わりだ。そう心配する人も出てきそうだ。だが、そちらの心配は無用だ。
米国が日本など同盟国を引き連れて中国や北朝鮮やロシアと対立する冷戦型の構図は、米覇権主義の一環だ。米英は覇権維持のため、同盟諸国を対米従属させておくために、中露朝など敵性諸国の脅威を誇張し、敵対を扇動・恒久化してきた。
こうした冷戦型の構造は、米覇権低下・多極化とともに終わる。米国側(米欧日)と中露朝の敵対関係はしだいに薄れていく。米中露はいずれ、北朝鮮と韓国(や日米)との和解も仲裁していく。
中長期的に、日本(というより世界)を取り巻く緊張関係は低下する。米国は米州主義だと誰の目にも明らかになるころには、米覇権と冷戦型構造は弱くなり、世界は多極化を完了している。
米国は日本に対し、ゆるやかに疎遠にしていくだろうが、同時に米国と中朝露の対立関係も解消されていくので、日米安保体制が希薄化・喪失しても、日本が戦争に巻き込まれることはない。
世界の多くの領土問題や地域紛争は、覇権勢力が世界を好き勝手に動かすために、意図的に残置・扇動されている。米覇権が崩れて多極型に転換すると、ほとんどの領土問題が解決される。北方領土や尖閣や竹島は、簡単に解決できる。これを読んで怒っている人は「間抜け」だよ。
(拉致問題終結の意味)
「しかし、米覇権が低下するほど中国は台湾を併合したがる。米国が台湾防衛を試み、米中が戦争になるぞ。日本も巻き込まれるじゃないか」という反論が出てきそうだ。
中共はいずれ台湾を併合していく。だが、その際に米国が台湾防衛を試みるとは限らない。そもそも、先進国はどこも台湾(中華民国)を国家承認してない。台湾が大事なら、米国が先頭切って国家承認しろよ。トランプ就任前にバイデンやれよ。しないよね。ダメじゃん。
中共は、米国や国際社会に非難介入されないような台湾併合のやり方を考えていく。国際社会とは従来、米国側が非米反米側を攻撃・難癖・いちゃもんする「人権外交」のための機構だったが、今後の世界は非米側が中心になり、国際社会は人権外交と無縁になっていく。人権外交のインチキさも露呈していく。
(人権外交の終わり)
「中共は独裁体制だが、台湾は民主主義になった。だから台湾を守らねばならない」というのが従来の人権外交の理屈だった。しかし今後、人権外交の構図は、米覇権とともに崩れていく。
人権外交の皮をはぐと、その下にあるのは「国共内戦」だ。1940年代、中共との内戦に負けた国民党が台湾に逃げ込み、対立が恒久化された。米国が軍艦を差し向けて介入しなければ、国民党は台湾に逃げ込むことすらできず、内戦は1949年に終わっていたはずだ。
(民主や人権の模範でなくなる米国の失墜)
トランプは、北米に域外勢力が介入してきた状態を嫌っている。欧州デンマークによるグリーンランド支配。英国系(英傀儡のリベラル派)によるカナダ支配。英国系による米諜報界支配。中共によるパナマ運河運営。それらをトランプは排除したい。
そのようなトランプに対し、習近平は言うだろう。「域外勢力の介入を嫌うあなたは正しい。私も、同様のことを希望している。米国は、中国の一部である台湾への介入をやめてほしい」と。トランプは、了承せざるを得ない。
そもそも、台湾や香港の人権・民主を口実に、中国が分割されている状況を維持したがる介入主義者は、トランプでなく、トランプの敵である英国系だ。
トランプが米国を単独覇権主義(英傀儡)から米州主義に転換したら、米国は台湾に介入しなくなる。中共は、米欧に邪魔されず、時間をかけて武力でなく政治で台湾を併合していける。
台湾問題(中華民国、台湾独立)は、多極化とともに消えていく運命にある。日本が台湾問題に巻き込まれることもない。
台湾人や支持者の皆さんは、私を誹謗しないでほしい。これは私の主張や願望でなく、今後の歴史的事実だ。皆さんも、それを痛感しているはず。
昨年末、沖縄の米海兵隊がグアム島などに出ていく動きがようやく具現化し始めたのは、トランプの米州主義と関係あるかもしれない。
グアムもハワイも東サモアも米国領だ。米国は、北米州の国であると同時に、太平洋の国でもある。米国が米州主義になったら、米州だけでなく太平洋も不可侵な領域として設定しうる。そうなると、グアム島の近くにある日本(やフィリピン)が米国の影響圏に入りうる。
グアム島は従来の冷戦構造下で、米国が中国と対峙する際の不沈空母として機能してきた。だがグアムは、中国がまだ清朝だった1898年から米国領だ。米国の太平洋領域は、中国敵視と関係なく存在している。
日本はトランプに対し「北米州の端にあるグリーンランドやパナマ運河を重視するなら、グアム島の近くにある日本も大事にしてくださいよ」「米国が中国やロシアと仲良くなっても、日本が切望する対米従属を認めてくださいよ」と言える。この点をどう考えるか。
そもそも日本と日本人は、米国が覇権国でなくなっても、世界が非米化した後も、米国の傀儡であり続けたいのか??。それとも、これまでは米国が強いので傀儡が良いと思い込んでいただけなのか??。本来の日本に戻るとか??。それはどういうものか??。今はまだ想像もつかないが、そのうちふわっと出てくるとか??。日豪亜とか??(なさそう)。
さらなる分析や自省が必要だ。日米関係(など日本と世界の関係)の今後は、日本と日本人がどうしたいのかによって変わってくる。その意味で日本の現状は、すでに従属とか傀儡でない。「従属させて〜〜」「ずっと傀儡でいたいよ〜〜」と思いながら傀儡をやってるのは、実のところ傀儡でない。意図して変な格好をしている。コスプレの一種だ。日本人は変態だよ。マゾ。変態万歳。
(中国と和解して日豪亜を進める安倍の日本)
世界が完全に多極型に転換する前に、英国系が最後っ屁的な大戦争を起こす可能性はないのか。ウクライナはもう世界大戦にならない。独仏など西欧はエリート(英傀儡)支配が崩れて尻込みしているからだ。
台湾で米中戦争とか。しかし、それをやるなら米諜報界は暗愚なバイデン政権下で挙行すべきだった。トランプが英国系の反乱を監視しているから今後は無理だ。最後っ屁の世界大戦は、もうない。
(世界大戦への仮想現実に騙される)
世界は、すでに多極型に転換している。以前の米覇権体制は、米英が世界の政治・経済の重要事項をすべて監視し、動かしていた。他の諸国が勝手な動きをすると、米英に制裁された。
しかしウクライナ開戦後、BRICSは自分たちの国際システムとして、米英に相談しないで独自のものを構築した(貿易、金融、安保など)。米英は、BRICSの国際システムに介入できない。米覇権の外側に、非米側のBRICSシステムが立ち上がった。
この過程は、昨秋の露カザンBRICSサミットで一段落した。世界は昨秋、多極型に転換したといえる。
(BRICSが多極型世界の準備完了)
そして11月の米選挙でトランプが快勝した。米国では、覇権を動かしてきた諜報界(DS)の英国系(リベラル派、民主党、マスコミ権威筋、軍産エスタブ)が、抵抗もできずに瓦解してしまった。
なぜあんなに見事に瓦解したのか、私はまだうまく説明していない。たぶん諜報界による意図的な制御崩壊だ。英国系が大崩壊したので、トランプは好き勝手にやれるようになった。欧州のエスタブ(英傀儡)も崩壊している。
世界は完全に多極化した。更地(ガザみたいな瓦礫の山)から、次の世界体制が立ち上がっていく。気づいていないのは人々だけだ。これからの展開が楽しみだ。
(トランプと今後の世界)
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