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CIAやUSAIDを潰すトランプ

2025年2月6日  田中 宇 

トランプ米大統領が、諜報機関であるCIA(中央情報局)の全職員に早期退職を勧めた。米諜報界の主要な機関であるCIAは、トランプが不正の温床と非難してきた深奥国家(DS=諜報界)の象徴的存在だ。トランプがCIAを潰そうとするのは自然な流れだ。
今回は第一弾として、全職員に退職を勧める策になっているが、退職しない者に対してはトランプ政権(イーロン・マスクが長官をつとめる新設のDOGE=政府効率化省)の調査が入る。CIAは秘密の不正が多い。不正を見つけられた者から解雇されていく。
Scattered To The Winds: Entire CIA Gets Trump Buyout Offer, USAID Employees Placed On Leave Worldwide

トランプは、米国の国際支援を主導してきたUSAID(国際開発局)の幹部職員も全員退職させる。既存のUSAIDは閉鎖され、大幅に縮小されて再出発する。
USAIDは表向き「支援機関」で、米国側のマスコミはUSAIDを美辞麗句で讃えてきたが、実際のUSAIDの本質は、支援にかこつけて発展途上諸国の内政を米国好みにねじ曲げたり、野党を支援して政権転覆したり、紛争を解決するといって長期化するような、米国(米英)の覇権運営のための機関だ。USAIDは米諜報界の一部だ。
Level Of Democrat Panic Over Musk Freezing USAID "Unlike Anything Ever Seen"

米国ではCIAやUSAIDのほか、国防総省や国務省、FBIも諜報を扱う機関だ。これらの役所は傘下に多くの下請け組織を持ち、全体が機密になっているので下請け(トンネル会社)が何をしているかも不明だ(不正の温床)。全体の総称が諜報界であり、これが米国の覇権運営や国内政治謀略を手掛ける「影の政府」「深奥国家(DS)」になっている。
CIAは全体が機密だ。機密でも不正(米国の利益にならないこと)がなければ良いが、CIAは不正だらけだ。トランプやマスクは、政府内の不正行為を取り締まることで諜報界を潰し、諜報界が使う予算を削って財政赤字を減らそうとしている。
Trump's Attack On The Deep State Is Spectacular And Almost Certainly Legal

CIAなど米諜報界は大戦直後、覇権国になる米国に諜報機関を作ることを勧めた英国の諜報機関(MI6)が創設を手掛けた。そのため米諜報界は、米国でなく英国の利益に沿った動きを続けてきた。
その皮切りが、中ソとの恒久対立である冷戦だ。英国系は、米国と英国の諜報界を一体化することで米覇権を牛耳った(あとからイスラエルも潜り込んできた)。

英国は覇権(世界支配)を好むが、英国から分離独立した米国は、本質的に覇権に反対だ。米国は世界覇権国でなく、南北米州とせいぜい西太平洋までの地域覇権国を目指していた(日本が米国の地域覇権領域に入るかどうかで、日本が対米従属し続けられるかどうかが決まる。トランプは安倍晋三にアジア太平洋を任せようとしたので、たぶんトランプ案だと日本は米国の影響圏外だ)。
米欧日のマスコミ権威筋は、米国が本質的に世界覇権主義だと言っているが、これはマスコミ権威筋が英傀儡であることに由来する大間違い・思い込みだ。

米国の生来的な勢力(国連の創設に尽力したロックフェラーなど)は、戦後の世界を、国連の安保理常任理事国(UNP5)に象徴される機関化された多極型の覇権構造として作ったが、単独覇権体制を好む英国に冷戦を起こされ、P5は米英仏と中ソが対立して機能不全にされた。
米諜報界は英国系の傀儡として、ソ連の脅威を誇張する不正を続け、ソ連の脅威が誇張されていると指摘する人々(政治家、学者、記者など)を潰す不正もやった。ソ連は「悪」なのだから誇張しても良いんだという話になっている。

(実際は、ソ連も中国も冷戦期に経済が破綻したが、これは英国系の諜報勢力がソ連や中国の上層部に入り込み、スターリンや毛沢東の政策決定に影響を与えて不合理化した結果・成果でないか。毛沢東に文化大革命を起こさせたとか。文化大革命後の中国を引っ張り上げたのは、ロックフェラーの番頭キッシンジャーだった。中国は清末以来、単独覇権派の英国に潰され、多極派の米国に救われてきた。英米は全く一体でない)

1961年にジョンFケネディ(Dロックフェラーの親友)が大統領になり、ソ連と対話して冷戦を終わらせようとしたので、米諜報界はケネディを暗殺した。ケネディ殺害は米諜報界の大罪だ。
当局がきちんと捜査すれば、諜報界の犯行がバレてしまう。諜報界は、マスコミ権威筋を言論統制し、諜報界がケネディを殺したと考えることを禁止行為(タブー、陰謀論)にした。
ケネディ暗殺も911事件も、きちんと捜査・考察すると諜報界の関与がバレる。だから重要情報が機密にされている。秘密が多いので明確に立証できないが怪しさは残る。「怪しいぞ、諜報界が犯人でないか」と言う者が出てくる。
それに対しては、諜報界傘下のマスコミ権威筋が「専門家がそう判断したのだから素人が勝手に考えるな。それは陰謀論=妄想だ」と言って言論統制し、人々に思考停止を強要する。

諜報界が手掛ける事件や事案は大体この構図(大事な情報が機密もしくは意図的に曖昧。公式論に対する反論禁止)を持っている。逆に言うと、この構図を持っている事件や事案は(英米イスラエルいずれかの)諜報界が関与したと推測できる。
最近の無料記事に書いたホロコーストや南京大虐殺など大戦時の人道犯罪。冷戦。911事件からのテロ戦争。地球温暖化問題。コロナ超愚策(武漢ラボ発祥説の禁止、都市閉鎖やワクチン強要などの超愚策)。ウクライナ戦争の善悪観、トランプ潰しのロシアゲートやJ6。専門家のウソがまかり通る金融分析(金融も諜報界の重要分野)。などなど。

トランプは今回、ケネディ暗殺の重要情報を機密解除すると言っている。1期目のトランプは、諜報界(DS)に喧嘩を売って登場したものの、逆に諜報界からロシアゲートなどの濡れ衣事件の「犯人」にされてしまい苦労した。
だが2期目のトランプはかなり強くなり(というか、諜報界がウクライナ戦争などで弱体化させられて)、トランプがCIAを潰したり、ケネディ暗殺の機密を公開できるところまで進んだ。

米諜報界の米国系(多極派。ロックフェラーなど)が出してきたケネディが冷戦を終わらせようとしたら、諜報界の英国系(単独覇権派)に暗殺された。英国系が米国系に一発かましたのがケネディ暗殺だった。
英国系に打ち負かされた米国系は戦法を変えた。諜報界で米覇権を拡大強化する英国系の策略を、稚拙に過激にやって大失敗に誘導し、英国系が好む米単独覇権体制をいったん自滅させ、世界を再起動させる形で多極化につなげる策(隠れ多極主義)を1970年代からやり出した。
米諜報界は英国に作ってもらったので、諜報現場の技能を継承するのは英国系だ。現場要員は英国系に支配され、米国系は現場要員がおらず戦略立案者だけだ。そのため米国系は、稚拙で過激な戦略を立案してわざと失敗させて覇権失墜と多極化を誘発するしかなった。

隠れ多極主義のはしりはベトナム戦争だ。ケネディ暗殺後、諜報界(米国系)はベトナム戦争を過激に稚拙に展開して大失敗させ、ベトナムの失敗を挽回する名目でキッシンジャーやニクソンが訪中して国交正常化し、米国の中国テコ入れが再開された。
ベトナム戦争は、フランスの失敗した植民地運営を米国が冷戦の一環という口実で引き継いで(わざと)失敗した。フランスでなく英国の旧植民地に米国が介入したのなら、米国が稚拙にやって失敗しようとしても英国が勝手に挽回して帳消しにしてしまう。米国はフランスの旧植民地に勝手に介入して自滅し、英国の関与も許さなかった。

米諜報界は1970年代以降、中南米から米国に流入する麻薬を取り締まると言って稚拙に過激にやり、逆に中南米で麻薬組織を繁茂させ、米国社会を麻薬漬けにしてしまう「麻薬戦争」も展開し、現在まで続けている。
CIAが中南米で手掛ける麻薬戦争は不正行為の集合体だ。トランプは今回、米国とメキシコの国境警備を強化し、違法移民と麻薬の流入を防ごうとしている。従来の麻薬戦争と正反対のまっとうな策だ。
トランプはCIAに対し、麻薬流入を止める要員は残すが、米国を自滅させる従来型の不正な麻薬戦争策をやっている要員は解雇すると言っている。急にやり方を変えられないので、基本的に全員解雇になる。
麻薬戦争の終わりと米国の孤立主義

近年では、バイデン政権時代に民主党左派の主導で米国を席巻した「覚醒運動」や「ジェンダーの意図的な混乱策(LGBT何とか)」「DEI」「違法移民への野放図な大歓迎」などの過激で稚拙な諸愚策も、米国系(隠れ多極派)が民主党にやらせた自滅策だったと、事後的に分析できる。
国防総省や国務省など諜報界は過去4年間、覚醒運動などの愚策を積極的に推進した。愚策の失敗が明確化した今、マスクのDOGEなどトランプ政権は、覚醒運動などへの公金注入を、米国に損害を与えると知りつつ推進した不正と見なし、簡単に取り締まれる状態になっている。
覚醒運動を過激化し米国を壊す諜報界

米国の2大政党制は「2党独裁」で、どちらが勝っても諜報界(英国系)の傀儡だったが、トランプ登場で一変した。
共和党は、トランプに席巻されてブッシュ親子(父が諜報界)など既存エリート層が失墜した。民主党も、覚醒運動や移民政策で大失敗させられ、昨秋の選挙でトランプに惨敗して再起不能になっている。今や米政界はトランプ独裁だ。これから民主党も、ドイツのBSWみたいに民意を汲み取って再生し、諜報界を潰した新たな2大政党制になるかもしれない。

覚醒運動や違法移民歓迎は米国を混乱させただけで、多くの米国民が民主党に愛想を尽かし、トランプの圧勝につながった。トランプが、1期目は諜報界に負けたのに、2期目は(今のところ)完勝している背景に、覚醒運動やウクライナ戦争などの愚策で諜報界が弱体化したことがある。
欧州でも、EU当局や英独仏の上層部(いずれも英国系の傘下)が、米国の影響で覚醒運動や移民歓迎をやって有権者に愛想を尽かされ自滅し、非米的な右派に政権を奪われる流れになっている。

トランプは、ケネディ暗殺の機密を公開するが、911事件の機密はたぶん公開しない。なぜなら、911とその後のテロ戦争は、1990年代後半から米諜報界に入り込んできたイスラエル(リクード)系の主導で挙行されたと考えられるからだ。
1990年前後の冷戦終結は、1980年代に米金融界が金融の債券化(債券金融システム)を発明し、それまで行き詰まっていた米経済が金融主導で再拡大し始め、米英覇権の中心が経済になり、冷戦構造を必要としなくなったので起きた。諜報界の大きな資金源も、インサイダー取引による儲けになった(諜報はインサイダー情報そのもの)。

それまでの冷戦期、諜報界の主な資金源は、ソ連の脅威を誇張して肥大化する米政府の防衛予算であり、軍事産業(軍産複合体)は諜報界の大黒柱だった。その構図は、1980年代後半からの覇権の金融化で大きく変わった。
覇権の金融化でソ連の脅威は必要なくなり、米国は(諜報界の多極派が主導して)冷戦を終わらせた。米国(諜報界の多極派)は、英国にも金融を債券化させ(1985年のビッグバン)、衰退していた英経済を金融主導で復活させ、米英覇権を金融化した。その見返りに英国は、米国が冷戦を終わらせることを了承した。
ニクソン、レーガン、そしてトランプ

冷戦後、見捨てられた軍産複合体を拾って入り込んだのがイスラエルだった。諜報界の多極派(米国系)が、イスラエルを呼び込んだと考えられる。リクード系のネオコンは、ロックフェラーのCFRのメンバーとしてテロ戦争やイラク侵攻を推進した。
イスラエルは1990年代まで労働党(英傀儡)が強かったが、労働党はオスロ合意でパレスチナ国家を認め、アラファトの軍勢が兵器を得てイスラエルを攻撃できる状態にしてしまった。これは失策とみなされ、イスラエルは労働党を捨て、パレスチナを全否定するリクードの国に変身した。
イスラエルは英国系と対峙する勢力になり、米国の多極派に呼び込まれて軍産複合体と合体した。米諜報界でリクード系になった勢力が、自作自演の911事件を起こしてクーデター的にテロ戦争を開始し、米国は金融主導から軍事(軍産複合体=リクード=多極派)主導に転換した。

諜報界にはユダヤ人が多く、リクード系が入ってくると、多くの要員が英国系からリクード系に転向したと考えられる(ユダヤ人どうしの強迫はすごい)。
多極派はリクード系を引き入れることで、初めて自前の現場要員を持った。彼らは、諜報界の英国系の動きをスパイして、イスラエル経由で多極派に伝えるようになった。この新体制を活用して諜報界の英国系を潰そうとしているのがトランプだ。トランプにとってイスラエルは最も(というか唯一の)大切な外国だ。

今後の米国は、英国の傀儡からイスラエルの傀儡になるだけでないのか。トランプやネタニヤフの動きを見ていると、どうもそうではないようだ。
イスラエルは最終的に、多極型に転換した世界の中で、中東の大国になる(なりたい)。「イスラエルが米諜報界を乗っ取って世界を支配する」という考え方は、米単独覇権体制が前提だ。世界が多極化したら、米諜報界を乗っ取ることで支配できるのは米国(もしくは北米大陸)だけだ。
多極化した世界で、イスラエルは中東、米国は米州で、違う極だ。イスラエルが米国を乗っ取る意味がない。
トランプはネタニヤフに対し「俺が大統領の間に、パレスチナを抹消してイスラエルを英国系のくびきから解放し、イスラエルを中東の大国にしてやる。イスラエルと、アラブやイランが和解する道筋をつけ、中東を平和で発展する地域にしてやる」「その代わり、俺が英国系を潰して米諜報界を刷新するのを手伝ってくれ。米英覇権は終わり、世界は多極化する。多極型になった世界で、米国とイスラエルは仲良くやる」と提案し、2人は合意しているのでないか。

ほかにも書きたいことがあった気がするが、とりあえず今回はここで終わる。いつも同じような諜報界の歴史分析を書いている。完成版を作り、そこにリンクを張るだけで良いじゃないかと言われる。
しかし実は、まだ完成版でない。延々と、独自の壮大な歴史分析を何回も書き直し、何年もかけて磨きをかけてバージョンアップしている感じだ。トランプなどの新しい動きで、逆に過去について分かる(ひらめく)ことも多い。歴史は動いている。まだしばらく未完成にお付き合いください。




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